その1は
こちら
玄米鮒寿司桶出しライブ後、さあ、麹トークです。
まずは、
いちごの甘酒で乾杯。
米原の奇跡のいちご、
「しぜん堂」さんの無農薬いちごと、
ハッピー太郎の無農薬甘酒とのブレンドです。
未来へのメッセージを込めて。
この日のために、蓋で麹を作りました。迫力がある、と評判でした。
麹菌というは、日本人が
野生菌から手作業で取捨選択し、家畜化したものです。1000年以上引き継がれてきました。
野生のカビのサンプルとして、
稲玉(イナダマ)を持参。自然農法池内農園さんの稲穂につく稲玉です。
注意点としては、現在のニホンコウジカビと稲玉に含まれるカビは、
ゲノム的にはとても遠い存在で、はっきりと祖先であると結論づけられるものではない、ということです。
ただ、ここから米を醸すカビを採取している文献もございますし、現在も、民間で採取にトライしている人がいます。
なぜ日本人は麹を大事にしてきたのか。
理由は「美味しいから」ということ以上にその
機能性と神秘性にあると私は感じています。
それを感じていただく仕掛けその1として、
菌違いによる甘酒の飲み比べ。
AとBで菌が違う甘酒、その味の違いを感じていただきました。
Aは甘さに特化した
現在の麹菌。Bは300年前から引き継がれている
昔ながらの麹菌。
Aはシンプルで軽い甘さ、Bは深みやコクのある甘さ。さて、なぜ違うのか、、、、。
私の麹や日本酒への問題意識は、特に
戦後の変化です。
現在、市販されている麹は白い菌によるものが主流です。
でも、
もともと麹は緑色なのです。
左のAが現在の白い麹菌、Bが昔ながらの緑の麹菌です。
なぜ色が違うのか。
それを説明するのに、滋賀県人には特になじみやすい話があります。
信楽焼の狸です。
所有している少し古い目の信楽焼たぬきを持参しました。過渡期にある狸です。
戦後の麹や日本酒の変化と、信楽焼たぬきの変化が、実は共通するところがあるのです。
簡単に書けば、
経済と流通とが最優先される時代が到来し、狸の作り方や顔が変化しました。
圧倒的に幼児化、画一化したんですね。可愛らしくて、多くの人に愛される存在となったことは確かです。
でも、大流行したのち、狸はどうなったか。皆様ご存知の通りです。
戦後の麹菌の変化。よく言えば、麹がいつでも手に入り、たくさん一度に作れて、多少古くなっても商品価値が落ちないようになった。
食生活の変化、減塩、洋食化の流れの中で、なじみやすい味、インパクトのある味(甘さに特化)に変化させてきました。
現在の白い菌は、麹が成長を続け、胞子が着いても、白いままです。
ある意味、視覚と味覚の幼児化とも言えます。
その結果、家庭での麹の扱いはどうなったか、、、、、。
戦後の日本酒の変化。まずは流通に耐えるものになりました。
炭素で色を取り、味をとり、香りをとり、「いつどこで買っても変わらない味」を実現しました。
そして口当たりよくスッキリと飲めるシンプルな味が隆盛を極め、、、、、日本酒の状況はどうなったでしょうか。
麹菌の酵素はでんぷんを分解する
アミラーゼが一番の特徴ですが、実はもっともっと様々な酵素の塊です。
その1つに
タンパク質分解酵素プロテアーゼがあります。
例えばお味噌。大豆を分解し、ペプチドやアミノ酸に。それが体を作る重要な栄養素です。
他にもたくさんあります。美味しいのはもちろんですが、まずは、
健康な身体を創る。薬代わりにもなる。
その機能性ゆえに、日本人は麹菌を大切にしてきたのですね。
現在は、タンパク質分解酵素をいかに抑え、甘さが出るグルコアミラーゼをたくさん出すか。
それに苦心してきたのが、実は最近の日本酒の作り方です。
その流れは、甘酒用の麹も一緒です。
日本人、いつのまにか「甘くて美味しい」が先立ってませんか。口先の美味しさは、100年、1000年続くのでしょうか?
もう一つ、
色の話をしました。
麹菌の色は戦後、白い菌が開発され、その方法は特許も取られました。
しかし、もともとの麹菌の色は、日本の伝統色の1つ、
「麹塵(キクジン)」というもの。
染織家の大家吉岡幸雄先生の「
日本の色辞典」をご紹介。
麹塵(キクジン)とは、
天皇の着衣にしか使うことが許されなかったと考えられている、そういう色なのです。
太古の昔、神棚に置いておいた蒸し米についたカビで酒を仕込んだ。そのカビは神様の恵、そのものでした。
麹が織りなす味はもちろんですが、その色「麹塵」にこそ、日本人は神秘性を感じ、敬意を持ってきた、そう考えることができないでしょうか。
戦後、その神秘なる色を変えることに戸惑いがなくなり、自由になった。
流通の問題は大切ですし、その結果、豊かな生活を送らせていただいている。
否定はすることはできないです。
でも、自由になったからといって、文化が深まりを見せたかというと、そうとも言えない。
ハッピー太郎としては、そう考えています。
続く。