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Posted by 滋賀咲くブログ at

発酵食ライブ「米で醸す」その4

発酵食ライブ「米で醸す」〜麹、鮒寿司、酒〜(座・座のジキドウその弐) その4 お料理の概要

イベントの後半は、お待ちかね、「発酵食ライブ」。発酵をプロが家庭料理に落とし込めば、こうなる!!
そして料理とお酒がバッチリだと、場が発酵していく〜!!!

調理人は村田光宏さん。日本料理の技を修められ、現在「ふくら」という屋号のお店、料理とお酒を楽しめるお店を本格準備中です。
彼は職人そのもので、料理で語る人ですね。この度「発酵縛り」ということで、かなり勉強・試作されたようです。

真ん中の男性が村田氏。



発酵というのは常に「動いている」ものですから、料理屋さんでは「計算が立たない」面もあると思うのです。
さて、どう扱っていただくか。期待が高まります。

メニューの概要と、合わせるお酒(オススメの飲み方)

鰤の甘酒西京焼 (甘酒と塩麹、その分解力)  
「大次郎 純米吟醸 生 27BY」 冷やとお燗で

飯コロッケ 酒粕トマトソース (鮒寿しの飯を食材として) 
「北島 渡船 生酛純米 生原酒 29BY」 お燗で

筑前煮 (熟成塩麹 醤油麹 調味料として)
「大次郎 純米吟醸 生 27BY」 冷やとお燗で

牛スネ肉の土手煮 (醤甘酒 その分解力) 
「不老泉 山廃純米吟醸 加水火入」 お燗で

鮒寿しペースト ラスク  (鮒寿しの飯を食材として) 
「ハッピー太郎の酒 純米吟醸 火入原酒」 お燗で

玄米鮒寿司 (手水に使用したお酒との再会)
「北島 渡船 火入原酒 28BY」(お蔵元差し入れ) お燗で

鶏ガラ味噌雑炊 (塩麹の分解力)

よもぎ甘酒 (薬にもなるデザート:ハッピー太郎提供)

続く!  


2018年04月27日 Posted by ハッピー太郎 at 12:00Comments(0)イベント報告

発酵食ライブ「米で醸す」その3

発酵食ライブ「米で醸す」(座・座のジキドウ その弐) その3 日本酒

よくある「酒と料理の会」「蔵元の会」では、テーマがぼんやりとし、酒と料理が全然合わないイベントが多々あります。
特に香りがプンプンするお酒をキンキンに冷やして料理と全く合わないイベント、地獄です。(健康にもよくありません)

そして私は酒単体で成立する美味しさにはあまり興味がないのです。
料理と合わせて真価を発揮する酒が楽しい。
そんな考えで、15年ほど、醸造業界に携わってきました。

小川酒店さんが提案し、関係者で試飲試食の綿密な打ち合わせをして、この日のお酒は選ばれました。
最後の最後まで、小川酒店さん、悩まれてましたね。

酒器。



小川酒店の明美さんは、本当に長い間、滋賀のお酒を応援し続け、地道な活動をたくさんの人を巻き込んで、繰り広げてるかたです。
柔らかい表現のブログはこちら「酒屋日記

小川酒店さんとの長いおつきあいで、お互いの考えがよくわかっているのですが、
ざっくり分けるとしたら、滋味を感じるお酒と、現代のスポーティなお酒とが存在していて、
滋味を感じるお酒の真価を提案したい、そのようなお気持ちがあったように思います。

日本酒トークを浜大津の小川酒店の明美さんと。時間が足りず、ほんの少しとなりましたが、、、、。
今回の日本酒のセレクトのテーマは、

○ ぼんやりとではなく、具体的に料理と合うお酒を選ぶ
○ 乳酸発酵のお酒と乳酸添加のお酒の両方の良さを提案する
○ 冷や(常温)とお燗、両方楽しめるお酒を選ぶ
○ 原酒と加水した酒の良さ両方を提案する
○ 私たちが心から美味しいと思うものを選ぶ
○ 滋賀県の酒にこだわる


選ばれたお酒(一升瓶)。右側の小さな4合瓶は、参加してくださったお蔵元様の差し入れです。


左から、

1、「北島」 渡船生酛純米 精米88% 生原酒 29BY
昔の酒米「渡船」をあまり磨かず用いて、乳酸発酵した生酛造りの意欲的な一本。
「北島」シリーズは、甘みに頼らないお酒で、お料理と合わせて活きます。
その中でもこのお酒はお米を磨かないことによる特徴的な香り、穀物感。比較的締めた麹と日本酒度を切らすことによるドライ感。
そして数字には現れない、生酛特有の懐の深さがあります。
チーズのようなコクや、アミノ酸の多い料理にぴったり合います。
28BYのお酒は、ハッピー太郎が鮒寿司を仕込む時に、手水として贅沢に使いました。

2、「ハッピー太郎のお酒」 純米吟醸 吟吹雪 原酒瓶燗火入 26BY
私が岡村本家に在籍していた時、初めて最初から最後まで担当したお酒(乳酸添加)。
麹は工芸品のように締めたものを多めに使用。泡あり6号酵母を使い、もろみでの高泡はあえて潰さず、その断熱性を尊重。
全く温度管理をする必要がありませんでした。
自然の中でキャンプした時感じるものとの調和が私にとっての「良い酒」の基準です。
谷川を吹き抜ける風の香りや土の香り、木々のざわめき、焚き火の音。その中で飲んで調和する酒。
口先の美味しさをイメージしておりません。旨みや酸っぱさが強いお料理と合わせてやると、化けます。
長い常温熟成により、加水しても伸びる(物足りなくない)お酒になりました。


3、「不老泉」 山廃純米吟醸 加水火入 26BY
乳酸発酵した酒母(山卸廃止酛・・・・生酛の摺り卸す工程を省いた酒母)で全国的にさきがけの地位にいる不老泉。
麹を深く作り込んだことによるアミノ酸たっぷりの太い旨味。酒を搾った後神経質な管理をあえてしないことによる独特の熟成感。
不老泉ならではの世界観は当然ながら、その中でも割水して火入れした酒で、スムーズな流れとキレを感じる一本。
ジビエなどの赤身の肉肉しさ、こってりした味噌味との相性が良いです。

4、「大治郎」 純米吟醸 山田錦 生原酒 27BY
乳酸添加のお酒。14号酵母という比較的華やかな香りがする酵母ですが、2年以上生で寝かせていて、
生ひねを通り越して、比較的まろやかな香りに変化。大治郎さんのお酒はスマートさ、わかりやすさ、綺麗さを併せ持ち、
酒米の王者山田錦ならではの品の良さで初心者にも楽しめる一方、丁寧に味を入れた魚や野菜に寄り添うマリアージュを見せます。



以上の酒を「発酵食」を使用したお料理と合わせて行きます。

続く。

  


2018年04月26日 Posted by ハッピー太郎 at 19:52Comments(0)イベント報告

発酵食ライブ「米で醸す」その2

その1はこちら

玄米鮒寿司桶出しライブ後、さあ、麹トークです。
まずは、いちごの甘酒で乾杯。


米原の奇跡のいちご、「しぜん堂」さんの無農薬いちごと、ハッピー太郎の無農薬甘酒とのブレンドです。
未来へのメッセージを込めて。

この日のために、蓋で麹を作りました。迫力がある、と評判でした。



麹菌というは、日本人が野生菌から手作業で取捨選択し、家畜化したものです。1000年以上引き継がれてきました。
野生のカビのサンプルとして、稲玉(イナダマ)を持参。自然農法池内農園さんの稲穂につく稲玉です。





注意点としては、現在のニホンコウジカビと稲玉に含まれるカビは、ゲノム的にはとても遠い存在で、はっきりと祖先であると結論づけられるものではない、ということです。
ただ、ここから米を醸すカビを採取している文献もございますし、現在も、民間で採取にトライしている人がいます。

なぜ日本人は麹を大事にしてきたのか。
理由は「美味しいから」ということ以上にその機能性と神秘性にあると私は感じています。
それを感じていただく仕掛けその1として、菌違いによる甘酒の飲み比べ。



AとBで菌が違う甘酒、その味の違いを感じていただきました。
Aは甘さに特化した現在の麹菌。Bは300年前から引き継がれている昔ながらの麹菌

Aはシンプルで軽い甘さ、Bは深みやコクのある甘さ。さて、なぜ違うのか、、、、。

私の麹や日本酒への問題意識は、特に戦後の変化です。

現在、市販されている麹は白い菌によるものが主流です。
でも、もともと麹は緑色なのです。


左のAが現在の白い麹菌、Bが昔ながらの緑の麹菌です。
なぜ色が違うのか。
それを説明するのに、滋賀県人には特になじみやすい話があります。
信楽焼の狸です。


所有している少し古い目の信楽焼たぬきを持参しました。過渡期にある狸です。
戦後の麹や日本酒の変化と、信楽焼たぬきの変化が、実は共通するところがあるのです。

簡単に書けば、経済と流通とが最優先される時代が到来し、狸の作り方や顔が変化しました。
圧倒的に幼児化、画一化したんですね。可愛らしくて、多くの人に愛される存在となったことは確かです。
でも、大流行したのち、狸はどうなったか。皆様ご存知の通りです。

戦後の麹菌の変化。よく言えば、麹がいつでも手に入り、たくさん一度に作れて、多少古くなっても商品価値が落ちないようになった。
食生活の変化、減塩、洋食化の流れの中で、なじみやすい味、インパクトのある味(甘さに特化)に変化させてきました。
現在の白い菌は、麹が成長を続け、胞子が着いても、白いままです。
ある意味、視覚と味覚の幼児化とも言えます。
その結果、家庭での麹の扱いはどうなったか、、、、、。

戦後の日本酒の変化。まずは流通に耐えるものになりました。
炭素で色を取り、味をとり、香りをとり、「いつどこで買っても変わらない味」を実現しました。
そして口当たりよくスッキリと飲めるシンプルな味が隆盛を極め、、、、、日本酒の状況はどうなったでしょうか。

麹菌の酵素はでんぷんを分解するアミラーゼが一番の特徴ですが、実はもっともっと様々な酵素の塊です。
その1つにタンパク質分解酵素プロテアーゼがあります。
例えばお味噌。大豆を分解し、ペプチドやアミノ酸に。それが体を作る重要な栄養素です。
他にもたくさんあります。美味しいのはもちろんですが、まずは、健康な身体を創る。薬代わりにもなる。
その機能性ゆえに、日本人は麹菌を大切にしてきたのですね。

現在は、タンパク質分解酵素をいかに抑え、甘さが出るグルコアミラーゼをたくさん出すか。
それに苦心してきたのが、実は最近の日本酒の作り方です。
その流れは、甘酒用の麹も一緒です。

日本人、いつのまにか「甘くて美味しい」が先立ってませんか。口先の美味しさは、100年、1000年続くのでしょうか?

もう一つ、色の話をしました。
麹菌の色は戦後、白い菌が開発され、その方法は特許も取られました。

しかし、もともとの麹菌の色は、日本の伝統色の1つ、「麹塵(キクジン)」というもの。
染織家の大家吉岡幸雄先生の「日本の色辞典」をご紹介。


麹塵(キクジン)とは、天皇の着衣にしか使うことが許されなかったと考えられている、そういう色なのです。
太古の昔、神棚に置いておいた蒸し米についたカビで酒を仕込んだ。そのカビは神様の恵、そのものでした。




麹が織りなす味はもちろんですが、その色「麹塵」にこそ、日本人は神秘性を感じ、敬意を持ってきた、そう考えることができないでしょうか。

戦後、その神秘なる色を変えることに戸惑いがなくなり、自由になった。
流通の問題は大切ですし、その結果、豊かな生活を送らせていただいている。
否定はすることはできないです。
でも、自由になったからといって、文化が深まりを見せたかというと、そうとも言えない。
ハッピー太郎としては、そう考えています。

続く。
  


2018年04月25日 Posted by ハッピー太郎 at 10:25Comments(0)イベント報告

発酵食ライブ「米で醸す」その1

ハッピー太郎の発酵食ライブ「米で醸す」〜麹、鮒寿司、酒〜(座・座のジキドウ その弐)

渾身のイベントが大成功に終わりました。
素晴らしいお天気。何かが起こりそうな場所。そして皆さんの幸せな気の流れ、、、、、。
奇跡のようなご縁、波長がシンクロ。これを発酵と言うのでしょうか。


場所はながらの座・座、登録有形文化財「橋本家住宅」(元・正蔵坊)。2018年4月22日開催。快晴。


玄関の気が利いたしつらえ。



お庭の光が素晴らしくて。神様が恵んでくださった、絶好の天候でした。





ご挨拶
琵琶湖とまわりの山々と豊かな大地。そこに生きるモノたちを繋ぎ・分解し・融合させる醸し技。
その中心には、いつも「米」がありました。米に付く野生菌を家畜化した「麹」。米に付く野生菌を塩で制御した「鮒寿し」。
そして野生と家畜の交錯から「日本酒」が産まれました。
現代のヒトは、その恐ろしい底力を忘れかけてはいないでしょうか?「飼いならされたのはヒトなのか。」
今回のジキドウはちょっとアグレッシブに、ヒトの魂をノックアウトするLiveを用意しました。


自然農法玄米鮒寿司(オス)桶出しライブからスタート。桶を開けた瞬間から、爽快な香りがいたします。これぞ玄米鮒寿司の真骨頂。






鮒寿司を盛り付けるお皿は、七尾うた子(滋賀県長浜市木之本町)作。この日のために用意しました。洋風でも、和風でもなく、原始的な蠢きを感じるこのお皿。先月開催された「七尾うた子」展(彦根The Good Luck Store)にて惚れ込んで買ってしまいました。



実はこのお皿、裏も使えるな、とビビッと来たんです。こりゃあ鮒寿司だろう、と。



皆さんが見つめます。


桶を近づけて、香りを嗅いでいただきました。



鮒寿司は後半の発酵食ライブで盛り付けて頂いたのですが、私、出来るだけ薄く切ってくださいね」と、要望してたのです。しかし、調理人村田光宏氏の素晴らしい腕。常温では切りづらい鮒寿司を見事に薄く、花にしていただきました。一切れ一切れに、その魂を感じる包丁の冴え。予想以上の皿になりました。これぞコラボというものです。


なんと、一匹、子薄のメスが紛れ込んでました 笑


玄米鮒寿司
鮒:琵琶湖天然ニゴロブナ オス(近江八幡 遠久邑様)
米:滋賀旭 玄米 (東近江 自然農法池内農園様)
漬け込み:ハッピー太郎醸造所


続く!



  


2018年04月24日 Posted by ハッピー太郎 at 17:25Comments(0)イベント報告