お燗酒のススメ「花垣 生酛純米27BY(福井・南部酒造場)」
暑いながらも、秋の匂いがしてまいりましたこの頃ですが、
日本酒や食事を美味しく感じる季節が近づいてきた、ということでもあります。
ハッピー太郎醸造所も、また、住まいの母屋も、冷房は一切ありませんので、
季節そのものの気温で生活しております。
というわけでさすがに、真夏は日本酒消費量が少なくなりまして、ビールが多くなるのですが、
私はもともと蔵人でしたので、この秋口からの日本酒の美味しくなる季節がとても楽しみなのです。
今回、ご紹介させていただくお酒は「生酛造り」(自然に存在する乳酸菌を呼び込んで育て上げる酒母造りの方法)のお酒。
その中でも、飲みやすく、しかし生酛らしい風格を備えたお酒をご紹介します。
日本酒が癒しのお酒であり、食事とともに楽しめる最高の食中酒であることが、全身で感じられる素敵なお酒です。
そのお酒を醸す杜氏さんは、
独特の迫力がある方なのですが、ハートが熱く、素敵なんですよ。
私も何度かお会いしたことがあり、また、SNSでいつも見守ってくれる、ありがたい方です。
『花垣』。
醸造元、南部酒造場にお買い物に行ってまいりました。
福井県は大野市の七間朝市にひときわ立派な建屋、それが南部酒造場さんです。
地下水に恵まれた土地柄で、お店の前で、その水が飲めます。
今回、「花垣 生酛純米70 27BY」(720ml 1500円)を購入してまいりました。
生酛造りの純米酒、平成27年酒造年度に醸造したもの、という意味です。
存在感のある堂々としたラベルですね。近年、ラベルを変更されたそうですよ。
平成27年酒造年度のお酒ということで、2年以上3年近くは熟成させたお酒ということになります。
お酒はフレッシュな方が美味しいものもありますが、この生酛純米は熟成させて美味しくなることを初めから念頭に置いて造られたお酒だと思います。
精米歩合は70%。大吟醸のようにはお米をたくさん磨かず、お米の旨味を活かしたお酒を造ることができるとともに、価格も庶民価格を実現しています。
アルコール度数は15度。つまり、原酒ではなく、加水(割り水)してます。これは飲んだ時の美味しさ、味のバランスを検討され、割り水をしている、ということです。個人的には割り水をしている方が、飲み疲れしないので、好きですね。
また、これは「火入れ」という熱処理をしています。もちろん火入れは殺菌が第一義ですし、常温保管が可能になります(実際の保管温度は酒蔵によって様々です)。でもそれだけではなく、火入れすることによって刺々しさが消えまろやかさも加わりますね。結果、料理を食べながら飲みやすくなることが多いように思います。
まとめますと、このお酒は、
平成27年度に醸造された、70%精米の生酛造り熟成純米酒、加水火入れ。ということになります。
飲み方ですが、冷や(常温)でも冷酒でもいけますが、お勧めはお燗酒。上燗(45度)以上に温めてまろやかになり、キレが増し、冷めてきても味が解けるような感覚がします。
生酛造りの乳酸系の旨味や酸は、温めることで舌に感じやすくなり、美味しくなることが多いですし、このお蔵の杜氏さんはそこを狙われていると思います。
飲むほどに身体がリラックスする酒ですね。
飲み口はするりと甘みと共に入ってきて、すぐに旨味が酸味と共に現れる。飽きのこないのは苦味が味の風景を変化させているからで、後味のキレが力強い。あまり米を磨いていないからこその骨太感と、生酛ならではの包容力、少し良い杯で飲みたくなるような清潔感と品格を併せ持つ、素敵なお酒です。
肴は、二夏熟成のへしこ(任孫商店)、
福井が有名なへしこですが、こちらは石川のへしこ。この任孫商店さんはフグの卵巣の糠漬けも製造されているところです。
かなり濃厚で、旨味が豊富。そのへしこの旨味と塩っけを生酛のふくよかさが受け止めます。鉄板の美味しさです。
越前じゃこ天、ソムムー、
じゃこ天は残念だけどアミノ酸の尖りが浮いてしまいますね。
ソムムーは自家製。ラオスの肉と米の発酵です。このソムムーとお酒との相性が面白く、お互いの酸が反応しあい、口の中が気持ちよくなります。
醤の麻婆茄子。
妻が発酵調味料を使って、麻婆茄子を作ってくれました。醤ケチャップと醤マヨを絡めてます。他に調味料は無し。これが美味しいです。
醤は名刀味噌本舗さんの「ひしおの糀」と井上醤油店の「古式しょうゆ」を使用しています。旨味の宝庫ですし、アミノ酸が多い濃いめの日本酒とも相性がいいですね。
お酒をお燗で楽しむと良いことがあって、
1、口の中が温まり、料理の旨味を感じやすくなるということ。
2、料理の油分を流しやすくなるということ。
3、胃の中を冷やさないので、身体に負担がかかりにくいということ。
4、アルコールの吸収がじわじわと進み、酔っていくのが自覚しやすいので悪酔いしづらいということ。
などが挙げられます。
酒肴に関して色々と書きましたが、このお酒のような包容力のある味わいなら、あまり考えすぎずに、あるもので楽しむのが一番。
疲れた心身をほぐし、労ってくださいな。
これから秋の幸が出てきます。
くれぐれも飲み過ぎにはご注意していただいて、お料理と共に楽しい日本酒燗酒ライフをお過ごしください。
日本酒や食事を美味しく感じる季節が近づいてきた、ということでもあります。
ハッピー太郎醸造所も、また、住まいの母屋も、冷房は一切ありませんので、
季節そのものの気温で生活しております。
というわけでさすがに、真夏は日本酒消費量が少なくなりまして、ビールが多くなるのですが、
私はもともと蔵人でしたので、この秋口からの日本酒の美味しくなる季節がとても楽しみなのです。
今回、ご紹介させていただくお酒は「生酛造り」(自然に存在する乳酸菌を呼び込んで育て上げる酒母造りの方法)のお酒。
その中でも、飲みやすく、しかし生酛らしい風格を備えたお酒をご紹介します。
日本酒が癒しのお酒であり、食事とともに楽しめる最高の食中酒であることが、全身で感じられる素敵なお酒です。
そのお酒を醸す杜氏さんは、
独特の迫力がある方なのですが、ハートが熱く、素敵なんですよ。
私も何度かお会いしたことがあり、また、SNSでいつも見守ってくれる、ありがたい方です。
『花垣』。
醸造元、南部酒造場にお買い物に行ってまいりました。
福井県は大野市の七間朝市にひときわ立派な建屋、それが南部酒造場さんです。
地下水に恵まれた土地柄で、お店の前で、その水が飲めます。
今回、「花垣 生酛純米70 27BY」(720ml 1500円)を購入してまいりました。
生酛造りの純米酒、平成27年酒造年度に醸造したもの、という意味です。
存在感のある堂々としたラベルですね。近年、ラベルを変更されたそうですよ。
平成27年酒造年度のお酒ということで、2年以上3年近くは熟成させたお酒ということになります。
お酒はフレッシュな方が美味しいものもありますが、この生酛純米は熟成させて美味しくなることを初めから念頭に置いて造られたお酒だと思います。
精米歩合は70%。大吟醸のようにはお米をたくさん磨かず、お米の旨味を活かしたお酒を造ることができるとともに、価格も庶民価格を実現しています。
アルコール度数は15度。つまり、原酒ではなく、加水(割り水)してます。これは飲んだ時の美味しさ、味のバランスを検討され、割り水をしている、ということです。個人的には割り水をしている方が、飲み疲れしないので、好きですね。
また、これは「火入れ」という熱処理をしています。もちろん火入れは殺菌が第一義ですし、常温保管が可能になります(実際の保管温度は酒蔵によって様々です)。でもそれだけではなく、火入れすることによって刺々しさが消えまろやかさも加わりますね。結果、料理を食べながら飲みやすくなることが多いように思います。
まとめますと、このお酒は、
平成27年度に醸造された、70%精米の生酛造り熟成純米酒、加水火入れ。ということになります。
飲み方ですが、冷や(常温)でも冷酒でもいけますが、お勧めはお燗酒。上燗(45度)以上に温めてまろやかになり、キレが増し、冷めてきても味が解けるような感覚がします。
生酛造りの乳酸系の旨味や酸は、温めることで舌に感じやすくなり、美味しくなることが多いですし、このお蔵の杜氏さんはそこを狙われていると思います。
飲むほどに身体がリラックスする酒ですね。
飲み口はするりと甘みと共に入ってきて、すぐに旨味が酸味と共に現れる。飽きのこないのは苦味が味の風景を変化させているからで、後味のキレが力強い。あまり米を磨いていないからこその骨太感と、生酛ならではの包容力、少し良い杯で飲みたくなるような清潔感と品格を併せ持つ、素敵なお酒です。
肴は、二夏熟成のへしこ(任孫商店)、
福井が有名なへしこですが、こちらは石川のへしこ。この任孫商店さんはフグの卵巣の糠漬けも製造されているところです。
かなり濃厚で、旨味が豊富。そのへしこの旨味と塩っけを生酛のふくよかさが受け止めます。鉄板の美味しさです。
越前じゃこ天、ソムムー、
じゃこ天は残念だけどアミノ酸の尖りが浮いてしまいますね。
ソムムーは自家製。ラオスの肉と米の発酵です。このソムムーとお酒との相性が面白く、お互いの酸が反応しあい、口の中が気持ちよくなります。
醤の麻婆茄子。
妻が発酵調味料を使って、麻婆茄子を作ってくれました。醤ケチャップと醤マヨを絡めてます。他に調味料は無し。これが美味しいです。
醤は名刀味噌本舗さんの「ひしおの糀」と井上醤油店の「古式しょうゆ」を使用しています。旨味の宝庫ですし、アミノ酸が多い濃いめの日本酒とも相性がいいですね。
お酒をお燗で楽しむと良いことがあって、
1、口の中が温まり、料理の旨味を感じやすくなるということ。
2、料理の油分を流しやすくなるということ。
3、胃の中を冷やさないので、身体に負担がかかりにくいということ。
4、アルコールの吸収がじわじわと進み、酔っていくのが自覚しやすいので悪酔いしづらいということ。
などが挙げられます。
酒肴に関して色々と書きましたが、このお酒のような包容力のある味わいなら、あまり考えすぎずに、あるもので楽しむのが一番。
疲れた心身をほぐし、労ってくださいな。
これから秋の幸が出てきます。
くれぐれも飲み過ぎにはご注意していただいて、お料理と共に楽しい日本酒燗酒ライフをお過ごしください。